ぎふベジ


ブロッコリー生産連絡協議会松野 芳正 会長 のお話(2020年12月取材)

栄養バランスに優れたブロッコリーは通年食べられますが、11 月~3 月が旬の野菜。 松野芳正さんは、岐阜市西郷地区で平成 20(2008)年にブロッコリー作りをスタート。 以来、春は朝 4 時、秋冬は朝 6 時半と、まだ薄暗い日の出前から圃場に出てブロッコ リー収穫に励んでいます。

「昭和 38(1963)年に農林高校を卒業して、父親がやっていた稲作と麦作をやりなが ら、母親が営んでいた養鶏の道に入りました。高校時代、畜産科の先生に『これから は養鶏がいい』と勧められてやってみたんやわ。東京オリンピックが開催されたら外 国人がいっぱい来て卵の消費量が必ず増える、と言われてね。結果、1 棟で 480 羽飼育 できる鶏舎を毎年建てて、多いときは 4,500 羽ほど飼っていました。地区内でも 20 戸 ほどが養鶏を営んで、県内の孵卵場に種卵を卸していたんです。」

養鶏と水稲、さらには建築関係の仕事に従事するなど、三足のわらじで頑張っていた 松野さんでしたが、20 年ほど営んだ頃、養鶏事業を撤退することに。
「平成 17(2005)年頃から鳥インフルエンザが流行ってね。以前に鶏が卵を生まなく なるニューカッスル病を経験したときは大変やったし、うちの鶏舎は太刀打ちできな いと思ってね。負債のないうちにと見切りをつけました。」

平成 19(2007)年、そんな松野さんのもとに新たな野菜作りの話が舞い込んできまし た。
「JA からブロッコリーを試験栽培するので見に来ないかとお声掛けいただいたんです。 西郷地区一帯は、水はけが良い黒ボク土壌。もうちょっと南まで行くと粘土質の土地 になるけど、『黒ボク』は乾きが良いんです。ブロッコリーは定植するときは水が要る けど、ある程度育つと水を嫌う性質がある。まさにぴったりの土でした。植えたら後 は土押さえして溝を作るだけやし、収穫しても 1 箱 5kg と軽い。これは作りやすいし、 長く続けられると、ブロッコリー作りを始めたんです。」
岐阜県下のブロッコリー生産量は、年々右肩上がり。ブロッコリー生産連絡協議会で
会長を務める松野さんは、組合全体の品質向上にも余念がありません。 「市場に出荷する基準は 12~15cm の L サイズを 15 玉で 1 箱。ある程度、数を作らん ことにはサイズは揃わんわけです。とはいえ、何でも市場に出して『岐阜のブロッコ リーはがさつなものしか出てこん』と言われてしまってもいかんので、選果は厳しく やってもらうよう JA にもお願いしたんです。それがレベルアップにつながりました。 現在、組合員は 100 名ほどですが、良いものを出さねばと、みなさんの意識が上がっ てきています。」
ある年の冬、収穫が遅れたブロッコリーの花蕾(からい)に溜まった雪溶け水が一晩 で凍結し、花蕾を腐らせてしまったことがありました。松野さんにとって、失敗も明 日の糧。今は普及員からのアドバイスのもと、肥料散布や病気予防を行っています。 「岐阜名産の柿を生産しとる同級生から、『お客さんの目につくところに指定席を作れ』 と言われてね。その時は悔しかったね。安定した良質のものを作れということです。 今ではブロッコリーも高く評価いただいているので、うらやましがられる時もあるけ どね。これからもクレームの少ないブロッコリーを作り続けていきますよ。」

目指すは、ブロッコリー生産連絡協議会として数年後に出荷量 1 億円。まだまだ目標 までは道半ばですが、松野さんはメディアを通した PR にも尽力し、ぎふベジのブロッ コリーの魅力を幅広く伝え続けます。

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