ぎふベジ


岐阜市園芸振興会 えだまめ部会市川 雅己 会長のお話(2017年7月取材)

市川雅己さんは、昭和51年(1976年)から岐阜市島地区でえだまめの生産に携わり、この道一筋41年。最盛期は朝4時から畑に出かけ、収穫作業を行います。

「長い栽培期間中、えだまめ畑の周りではツバメが飛び交い、ヒバリのさえずりを聞きながらの農作業になります。自然が好きな自分にとって、天職だと思っています。
以前は、会社勤めに憧れたこともありました。両親を手伝うかたちでこの道に入りましたが、始めた年の9月に安八豪雨がありまして。島地区も水に浸かり、ずっと成長を見守ってきた作物が収穫を目前に一瞬にして流されてしまった。あの時は本当にやるせなかったですね。それから10年ほどは、半分嫌々ながらやっていました(笑)。
それでも今は、農業を続けてきて良かったと思っています。私はいろんな人に助けられてここまで来ましたので、本当に良い人生を歩んできたなというのが実感です。」

日に焼けた顔をくしゃっとほころばせながら、穏やかに語る市川さん。
現在、213戸の生産者が所属する「えだまめ部会」と一丸となり、安全・安心なえだまめを消費者に届けられるよう、ひたむきに取り組んでいます。
「岐阜で本格的にえだまめの生産が始まったのは、昭和32年頃。土壌や水、寒暖差に恵まれたというのももちろんですが、良いものを作り続ける努力は惜しまずにやってきました。そのうち『岐阜のえだまめは品質が良い』という声をいただき、気づいたら今のような位置づけになったと思います。
こうしたブランド力は、私たちが決めるものではなく、買っていただく消費者の方からの評価が積み重なって生まれるものです。鮮度が良く、安全・安心で美味しいものを作ることが、私たち生産者の原点。ブランド力が上がってきたからと、調子に乗って手間を省いてはダメです。安全・安心の原点にいつも立ち返りながら、ブランド力を上げていく方法を考えていかなければなりません。」
害虫を寄せ付けないために平成15年(2002年)に採用した防虫ネットが、雨風などのストレス緩和につながって品質が向上。2016年度は年間で約950t、出荷しました。
「私たちは作ることはプロですが、流通や販売においては素人です。消費者のもとへお届けするまでに、JAの選果場で荷物を厳選し、市場まで運送会社がトラックで運び、市場が量販店へと繋いでくれます。そして、岐阜農林事務所が技術指導を、行政が情報を広めてくださいます。みなさんの協力があってこうして生産できる。ありがたいことです。」

生産者としての原点と感謝の心を忘れない市川さん。「今の品質を前提に作付け量を増やしたい」と、これからも岐阜えだまめへの情熱を燃やし続けます。

おいしい
岐阜の野菜たち

旬の暦